旅は道草。Ⅱ

甲州道中をテキトーにゆる歩き

2017.11.27 【甲州道中2日目】新宿三丁目駅→調布駅

朝、起きた。出発。

6:00起きで行こうと張り切っていたものの、実際に目が覚めたのは8:00過ぎ。

確かに目覚ましを消した記憶はあった。

まぁいいのよ。だってまだ都内だし。いつでも行って帰ってこられるエリアはどうしても気が抜ける。

多分、東海道五十三次を歩いていたときも、箱根を越えるまではこんな感じで進めていたと思う。

 

朝ご飯をのんびり食べて、9:00過ぎに出発。

新宿三丁目に到着したのは10:40頃だったが、出る出口を間違ってしまい、甲州道中を明後日の方向に歩き出していた。

ひとりで街道歩きをするのは、とても久しぶりなことで、それは2012年に踏破した旧山陽道西国街道)以来なので、ちょっと勘が鈍った感じ。

夫のTも街道を歩く人で、私より地図も読めて勘もいいので、2012年以降は一緒に歩くことも多かったが、そういう人なので私の出番がないのだ。

同時に、地図を読む力も落ちてしまっていたみたい。

別に、人のせいにするつもりもないけれども。

 

話、もとい道を戻そう。

何かおかしいと引き返し、前回歩き終えた新宿三丁目の交差点から改めてスタートを切ったのは11:10頃。

新宿駅を通る。

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新宿三丁目付近の道路標識


新宿周辺で会社員をしていた時もあって、懐かしさというか、トラウマというか、そういうものを感じるのがこの新宿駅前。

深く考えずに、素通りしよう。

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新宿駅

駅を過ぎ、地図に従うまま裏道を行く。

今はビルの間。風情は特にない。大都会なだけ。

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再び国道20号線に戻ると、前方に首都高の高架が見えてきた。

街道に平行して走るこの高架。

甲州道中に並んで走っているならまだしも、上空を覆うようにおよそ7km。

京王線の駅で言うと、初台駅から上北沢駅まで8駅もある。なかなかの長さだ。

久しぶりの街道歩き、この高架下を歩くことが、どれほど精神的な影響を及ぼすか?

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アートにも見えてきた首都高高架

結果的に、久しぶりの街道歩きでテンションが上がっていたため、高架すら風情ある建造物に見えていた。

ほんとうに、面白いと感じた。

 

高架下。ぐんぐん進む。お堂などを見ながら。

子育て中は何かと自分のペースで歩くことが難しいので、頭を空っぽに、道なりに進めばいいという国道歩きは爽快であった。スポーツをしているような。

また、数年の眠りから目覚めようとしている筋肉を、全身に感じている……

明日は筋肉痛確定。

 

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幡ヶ谷にある子育て地蔵堂。

ビルの一階に立派な地蔵堂。なかなか見られない光景。

他にも、都内らしいお堂が今回歩いた中で幾つも見られた。面白い。

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笹塚の庚申堂

 小さいのに瓦屋根までのって、何となく、さすが住民の多い都内だなぁと。

今も大切にしている人がいるという証拠だ。

 

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明大前近くの庚申塔

 明大前駅にさしかかる。

実は、前回の目標地点がこの明大前駅だった。思ったより遠かったなぁ。

父親が明治高校・大学の出身者で、よく懐かしそうに話している。あのストーリーの舞台は、ここなわけね。

たぶん、父が描いている青春の光景とは、もう全然違っていると思う。

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明治大学。きれいな校舎。

 またしばらく首都高の高架下を歩いていく。

高架下から少し逸れたところに寺院がまとめられた場所があり、その前の道を歩いてみる。

永昌寺の門前に、庚申塔が並ぶ。

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好きな人には壮観

 

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玉川上水永泉寺緑地の紅葉

しつこいけど、いまだ高架下。

だからというわけじゃないけど、思い切り飛ばして歩く。

桜上水にある竹細工屋さんってまだあるのかな?」

T夫に言われていたお店も、一応意識しながら。

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その竹細工屋さんは、竹像が目印

その竹細工屋さん、ありました。職人の方が中で作業中。

小さな竹ぼうきが何種類かお店の外にも陳列されていて、お手頃な値段。

ついつい、買いたくなるのを抑える。

だって「ルンバが欲しいっ(キラキラ)」と何年も言い続けてる人が、竹ぼうきって、衝動買い以外の何物でもないわけで。

しかし、知らない街を歩いている時に出会うものは、無性に欲しくなるのは何でだろうね。

 

高架とお別れ、さようなら

上北沢エリアに入ってきそうなところで、長らく旅路を共にしていた高架様が別の道へ行くというので、お別れに。

高架の下を何キロも歩くなんて、最初は憂鬱でどうにかなるんじゃないかと思ったけど、別にどってことなかった。

前方の橋梁の合間からのぞくと、広い空の甲州道中が。嬉しい。

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高架は北へ、私は西へ

芦花公園エリアで、旧甲州道中は国道20号から逸れて裏道(という程ではない)を行く。

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国道からちょっと逸れる甲州道中

国道から逸れるという状況が久しぶり過ぎて戸惑う。

四谷駅以来?まさか……

 

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 色々な石造物があっていい。

 東京は、以外と路傍に残されているんだね。

国道の裏道(旧道)とは言っても、車通りも人通りもそこそこの道なわけで、旧道情緒というものはないけれども、路傍にあるのはほっとする嬉しい光景だ。

仙川駅エリア通過

国道20号に復帰し、お寺の門前を通ると、そこにも庚申塔

多いねぇ。

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 仙川エリアを歩いていると、仙川一里塚付近に、アクティブ系高齢者の人だかりが。

どう見ても甲州道中歩きの人々。

甲州道中を始めて、同じことしてる人は初めて見たかも。

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仙川一里塚

仙川にはマヨネーズのキューピーの建物があった。

入口には、早くもクリスマス使用のキューピーが。事あるごとに着せ替えられているのだろうと想像する。

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キューピーさん

麗しの滝坂

キューピーの前からほどなくすると、滝坂という旧道に入る。

大雨が降ると滝のようになることから付いた名称だという。

旧道情緒、こういう景色が、私は一番好きなんだ。

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麗しの滝坂

右の道に吸い込まれそうな……いや、吸い込まれたい感じ。

あぁ麗しの滝坂…………そんな歌謡曲が今なら作れそう。

坂の途中には薬師如来も。

 

滝坂の道のりはわずかだったが、いつか甲州道中を踏破して何年も過ぎても、この滝坂に入っていく風景は生涯忘れることはないだろうと思う。

大げさ?いや、本当にそうだと思うんだ。

旧東海道や他の街道を歩いて来ても、やっぱり思い出深い国道分岐の光景は心に残っているからね。

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滝坂の途中には薬師如来像も。

 また国道に入ったところで、庚申塔

いいね、いいね。

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つつじが丘の庚申塔

寛政十二年の庚申塔があって、私が住んでる横浜市ではあまり見かけることのない二童子と四薬叉がいる庚申塔
実は庚申年である寛政十二年。これだけ登場人物が豪華になったのは、庚申年という背景が関係しているのかな。

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二童子や四薬叉のいる庚申塔

今日のルートは、ほぼ、並木がある。

時期が時期だけに、落ち葉がどこも凄くて、踏むとたまに滑るんだよね。

掃除する人は誰だろう?大変だ。

でも季節感があって、いいよ。

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落ち葉

f:id:wadana:20171204225844j:plain金獅子

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野川

野川を渡り『旧甲州街道入口』という信号を見て、地図も確認すると、本日の目的地である調布駅は間もなく。

京王線の駅で言うと、あと3駅はあるのだが。

改めて、京王線は駅が多い。

 

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「旧甲州道中」と主張したい

国道20号線から、ちょっと裏道の都道119号という道。

「旧甲州街道」の名前で標識が建てられていて、ちょっと嬉しい。

でも、「ほんとうは甲州道中!」と心の中で主張しておくのであります。

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調布駅北交差点

さて、調布駅北交差点までやってきた。

真っすぐは、続く甲州道中。

今日はここまで。左折して駅に向かう。さよ~なら~~。

 

初めて調布駅を利用する私は、アプリでどのように帰宅するのが最も早いか検索した。

色々なルートがあるらしい。

地図で見ると、調布という場所と私の住んでいる横浜の“山エリア”は、直線だと非常に近く感じるが、何しろ道路も線路も中央に向かって放射線状に設置されているわけで、その間を効率よく突っ切るルートは鉄道ではないのだ。

阿弥陀くじ的ルートなら、ありそう……

アプリを閉じて、路線図で帰ってみようと思い立つ。

滅多に使わない京王線は、やってくる車両表示を見ても、行き先に縁のない土地ばかり。

何度か乗る電車を間違えて、40分近く経った頃、気付くと明大前にいた。

必死だったが、だいぶ時間を無駄にしていた。

今更、新宿に出て帰るのは、京王線を攻略しようとした努力が無駄になるような気がしたので、少し戻る感じだったが、下北沢で小田急に乗り換えるルートを選び、無事に帰宅することができた。

京王線、侮れない。しかし、まだ京王線は使うことになるだろう!

京王線を制する者は、甲州道中を制す?!

次回までに、路線図を頭の中に叩き込んでおこうと決めた。

特にこれから、JR相模線やJR横浜線は馴染みはあっても、知らない土地で思いがけない再会をすると、他人のそぶりをする鉄道が現れるからね。

ぬかりなく。